“待ち合わせに貴女はいつも遅れてくる”


“だけど会えればそれだけで満足なんだ”


“ある日知らない香水の匂いがした”


“気付かないふりをしたけどもう手遅れだった”


“あの時、聞けばよかったの?


それとも俺が何かしてしまった?”


“もう貴女に聞くことなんてできないけどいつも考えてる”


“貴女の事をずっと想ってる”


“さよなら”“愛おしい人”


“永遠《とわ》に貴女を想い続ける━━━·····”







切ない失恋ソング·····。


けど私はそれより驚いた。
この曲は全員での歌うパートがないんだ。
ひとりが歌っていてそれにハモる箇所はあっても全員の声が重なることはない。
実力のない人達が歌えば誰も聞いてくれないだろう。
だけど奏は違った。
そこにいた観客、淡々としている司会者さえ、惹き付けていた。



「凄い······。」