「頼むから仕事って忘れないで。」


「俺らの6年間、帳消しにするつもりかよ。」


━━プルル━━プルルルル━━━



私のスマホだ。



「あ、お兄ちゃんもしもし?」


「どこにいるの!?
挨拶回りして戻ってきたらいないんだけど!?」



かなり心配してる様子。



「ごめんね。すぐ戻るから!」



電話を切ると皆さんに見られていた。



「じゃあ俺、送ってくよ。
知らない場所から元の部屋に戻るのは大変でしょ。」


「おー。」


「行ってら。」



小戸森さんは楽屋の扉を開いた。



「行くよ?」


「いえ、1人で戻れるので大丈夫です。」



そんなに迷惑ばかりかけられない。
通りすがりの人に聞けばすぐにカラフルBOYSの楽屋に戻れるはず。



「君は強がりなんだろうけどこういう時は“ありがとう”ってその言葉だけで充分なんだよ。」



不思議だな。
小戸森さんの言葉は否定できない。