桜音羽と過ごした時間以上に李桜と顔を合わせて、お互いの空気を感じて、たまに怒らせて、適度な距離感を覚えて、言葉を交わすことは少なかった。
けどそんな中で生まれた絆のようなものがある。



「やっぱ俺を輝かせるのは奏“グループ”だろうからさ。」



最近は会話も増えて、李桜の大切な家族と過ごす時間が増えた。李桜のいない日はゆきちゃんから過保護すぎると悩みを聞いたり、空桜と遊園地に行ったり、柚羽を抱きしめに来たり。

俺と李桜は大事なことは伝えずに黙ってたり、距離感間違えて喧嘩もする。最近は本当の兄弟のようだ。どっちが兄なのかも疑問だけど。
こんな日常に俺は感謝してる。
どんなに桜音羽との日々が遠くなっていっても俺は孤独になってないんだ。

すべて桜音羽のおかげなんだけどね。

でも自分で掴み取ったものでもあるって信じてる。本音で話して、怒って笑って。

たまに君を思い出して涙する。

そんな日常が、日々が幸せで仕方ないんだ。



俺はまた李桜に言ってやった。言う前から目の前の李桜の表情が変わることを想像してずいぶんニヤけてしまった。













「奏は日本一じゃなくて世界一めざしてっから。生涯現役。お前らじゃ追いつけねーくらい飛躍してやる。」


「シワの増えたおじさんなんかに負けないし。」
























おわり。