「持ってきたんで良かったら飲みません?」


そこにはコンビニ袋に入れられた洋酒があった。


「多すぎじゃない?」

「残れば友人が来た時にでも。」

「俺友達いたかな。」

「知りませんよ。」


無駄口を叩きながらダイニングテーブルに座るとそこには種類の豊富な洋酒が並んだ。


「よくこんなにあったな。」

「俺も行って驚きました。」

「で、話って?」

「桜音羽の名前出すなんて聞いてないんですけど。」

「ん?あぁ、なんか流れで言っちゃった。自慢したくなってさ。」


李桜の為なんて言えば厚かましいがもし、あの緊張した空間で李桜達夫婦を考えて言ってしまったなんてバレたら恥ずかしすぎる。目を逸らしながらなるべく平常心を保った。


「ほんと、いっつもいっつも!いい加減にしろよ!何が家族だよ。自分は相談なんてしないくせに····、いつだって俺を避けてるのはそっちだろ·····!」


急に大声を出した李桜に俺は目を丸くした。桜音羽の名前を出したことを怒られてるのかと思ったがどうやら違うらしい。


「スタジオで会ったって俺とは目も合わせない。5周年、10周年もライブには来てくれない。結婚しても昨日たまたま会った時に流れでしか言われないし、それのどこが家族なんだって話ですよ。」

「悪い····嫌だったよな俺と家族なんて。」


『バンッ!』さらに大きな音を立てた李桜は次に発した言葉を飲み込むためか口を手で抑えていた。だが俺に届いた声は消せる訳もなく嬉しさだけが込み上げてくる。


「『俺にとっては10年前から家族』?李桜のことずっと家族だったって思っていいんだ?」


顔のニヤケが抑えられずそのまま聞くと李桜はうずくまってしまった。耳まで真っ赤だから顔を隠しても意味なさそうだけど笑