「⋯ありがとうございました。
それにしても彼女は意地悪ですよね。おじいちゃんになる前に会いに行けば追い返されちゃうと思います。なのでまぁ気長に歳をとるまで俺は音楽と向き合い続けようと決めました。

どうか皆様にはこれからも、気まぐれで、わがままで、小学生かっていうくらい幼稚な俺ことを応援していただけると嬉しいです。今後もよろしくお願いします。」



沈黙の続く会場で李桜の隣を見ると奥さんは桜音羽を思って涙ぐんでいる。そしてその背中を静かにさすってる李桜。

お互いを思いやれなくなって別れるんなら仕方ないけどお互いを思いすぎて離れるなんて嫌だろ?桜音羽なら上手く2人の仲裁に入るんだろうけど俺はそんなこと出来ないからせめて桜音羽が心配しないように2人が笑って過ごせる為に俺ができるのはこんなことくらいか。


スタンドマイクを裏に持っていこうとするスタッフの手を止め俺はもう一度マイクを握った。


「彼女の名前は『桜樹 桜音羽』

彼女は短い人生で俺にたくさんの思い出を残してくれました。今の俺があるのは彼女のおかげです。

そして彼女の兄の名前は『桜樹李桜』国民的アイドルにまで上り詰めた俺の後輩。」


俺の告白にまた会場は騒然とした。後輩の妹に手を出したヤバいやつとでも思っただろう。