「驚く方も多いと思います。ただそのまま聞いていただけると幸いです。

····10年と4ヶ月ほど前、俺はある女性と出逢いました。彼女にたった1回会っただけで俺は心が惹かれて、連絡をしたり、遊びに誘ったり色々しました。もちろん、アイドルとして意識が足りなすぎると皆思うと思います。しかし、俺はどこか本能のようなもので感じていたのかもしれません。·····彼女と過ごせるのは今しかないのだと。

ある日、俺は彼女に言いました。『君に信用して貰えるようになったら名前を呼ばせて欲しい』と。けど彼女から返事を貰うことはできませんでした。
きっと、嘘が苦しくなったんです。本来の彼女は嘘なんて苦手で、人が傷つくくらいなら自分が代わりになろうとするような優しい人だった。

そして12月に彼女が名前を呼ばせてくれました。俺は信じてくれたことが嬉しくてひとりで舞い上がっていたんです。なのに次の日から彼女からの連絡は途絶えました。

兄や彼女の関わりのある人間にひたすら聞きまわりました。頭を下げて…、嫌な事を言われたり(笑)



そんな中で知った事実がありました。嘘の苦手な彼女が嘘をついてでも隠したかったことがあったんです。

俺と出会った頃、彼女は余命宣告を受けていたそうです。そしてある人物から彼女の夢を教えてもらいました。まだ19歳の子が余命宣告を受けても忘れられなかった幼い夢。


〚お姫様になりたい〛


それを聞いた時、彼女に会いたいという想いはさらに強く、そして確実なものになりました。
長く生きられないからではなく、彼女の夢を全て叶えたいほどに愛していたからです。

しかし、残された時間が僅かなのも事実でした。やっと彼女に会えた時、思わず抱きしめた。けれど彼女は『あなたのことなんて知らない』そう言って病室を変えてしまってまた会えなくなりました。