「でも·····」


言葉を詰まらせた私を碧音さんはどう思うだろう。彼は言葉で、行動で全てを伝えてくれているのにあと一歩を踏み出せない。



「俺はガサツで相手の気持ちなんて考えてやれないし、朝はひとりで起きれないからアイツらが叩き起しに来るし、包丁握ったこともないから飯も作れないし、未だに人なんて信用出来ないし。かなりヤバいやつだと思う。」


碧音さんは急に自分の悪口?を言い出した。
だけど私の手を握りしめる彼はヤバいやつなんかじゃないって私がいちばん知ってる。




かっこよくて、やさしくて·····「そんな俺が桜音羽のことは世界一、信用してる。ていうか桜音羽になら裏切られてもいい。⋯だから俺のたった一人の家族になって欲しい。」私をとても大切にしてくれる人。



私よりも大きな手を握り返した。この手を、離したくない。時間が許す限りこの人の隣にいたい。


「私で、良ければ····」


プロポーズの返事なんて知らない私はいつかのドラマのセリフみたいな少し古い気もするような答え方をしてしまった。もう少し恋愛に詳しくなっとけばよかったと思っている私を他所に碧音さんは幸せそうな顔をしている。




気持ちが重なって同じ方向を向いた時、こんなにも気持ちが満たされるなんて思ってもみなかった。



見つめあった私達は思わず笑った。



『『幸せ⋯!』』













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