点滴のために手首に刺された針。
酸素マスクに動かせない身体。


私はもうすぐ死ぬのか。


碧音さんとの約束、守れないな。
でも良かったのかもしれない。

会ってもまた同じように“次”を求めてしまうだろうから。


「お兄ちゃん、先生はなんて?」


病室に戻ってきたお兄ちゃんに尋ねた。
重そうな口を開いて教えてくれた。



「うん、しばらくは入院して体調を見た方がいいんだって。きっと大丈夫だよ。」


お兄ちゃんの笑顔が辛そうでそんな顔をさせてしまったことに胸が痛んだ。

次の日に検査をして天野先生が最初に伝えてくれた時期から予想は今の所外れてないらしい。

要するに私の余命は変わらず。


酸素マスクは外せたけど思うように力の入りづらい身体。これからもっと酷くなっていく。なのにまだ生きてるなんて辛いなぁ····。


無気力なまま数日がすぎた頃、病室の外の騒がしさに私は耳を傾けた。




「すいません·····!桜樹桜音羽さんの病室知りませんか!? 」

「僕ら知り合いだって言ってんでしょ。」

「早く教えてください!」

「まって、しっかり看護師さんに説明してからじゃないと·····」



「あ、はっけーん! 」



驚く暇もなく私だけの病室にお兄ちゃん以外のカラフルBOYSがやってきた。
ベットに座っている私をみんなが見つめた。


どうしているんだろう。なんで病院ってわかったの?嘘をついていたのにどんな顔で顔を合わせれば·····



「大丈夫?」


下を向いていた私にかけてくれた言葉はそんな一言だった。
黒木さんが聞いてきて皆さんは私を静かに見てる。



「黙ってて····、すみませんでした。」


謝る以外ないと思った。
だけど皆さんそのまま床に座り込んでしまった。


「とりあえず無事でよかった·····。」


朝陽さんの疲れきった顔は初めて見た。
ずっと心配してくれてたのかな。