事故か····。私はお母さん達が事故って聞いた時、何を言われているのかよく分からなかった。あんなに笑顔で家を出たのに帰ってきた時は冷たくて笑ってくれることはもうなくてひたすら悲しかった。


だけど会ったことがないってなると仕方ないって自分を納得させるしかないのかもしれない。それ以外に悲しみを消す方法を見つけられないから。

すごく辛そうな碧音さんの声が私の胸も締め付けてきた。



「俺は会ったことがなくてそれでも憧れの気持ちは消えなかった。
だから中学の時、太陽がアイドルを目指すって聞いて友達と一緒なら頑張れそうって思ったから夢(父親)を追いかけることにしたんだよね。
でも父親が有名だと周りには嫌がられた。こいつの引き立て役はごめんだってさ。
なのに今のメンバーは誰1人嫌がらなかった。って言うより、父親とか関係ないって言ってきたんだよ。変な奴らでしょ?(笑)」



笑って言っているけどきっと碧音さんにとって救いの言葉だったんだろうな。
自分自身を見てくれる存在は貴重だ。



「父親の名前を公表するかは迷ったけど俺は父親に憧れてそんな存在になりたくてここまでやってきたんだって思ってさ、だから両親のことを聞かれた時に言ったんだよね。俺の父親は小戸森 拓也ですって。そうなれば世の中は大騒動。
それから2年くらいたった時かな。····本当の父親じゃないって知ったのは。」




父親じゃない····?その言葉が私には理解できなかった。