「やっぱ危ないから、さすがに泊まっていって。」


「はい·····。」



スマホは使えるから一応お兄ちゃんにも連絡はした。あとはバッテリー切れしないように使わないようにしとかなきゃ。


「んじゃ、俺らも部屋にいるからあおになんかされたらいつでも言ってー。」



速水さんは笑いながら言って部屋へ戻って行った。他の人たちも一応睡眠をとると部屋に行ってしまった。


碧音さんと2人きり····。緊張するなぁ。といっても真っ暗でスマホの灯りしかないからそんなに顔は見えないけどそれでも好きな人が一緒だと胸が高鳴る。



「隣おいで。」



隣に座ってふと思い出した。私はまだ伝えれていない。これが最後だって。·····朝になったら伝えなきゃ。それまではどうかこのまま幸せな時間を·····。



「····昔話をしてもいい?」

「いくらでも聞きますよ。」



碧音さんの話は何時間だって聞ける。
小さな灯りで見える碧音さんの口元は少し緊張しているようだった。



「小さい頃、母親が父親の映像を見せてくれて知ったんだよね。
これが父さんなんだって。俺の父さんは世界一かっこよく見えた。
曲を作って世の中に披露して人気で····憧れになった。
だけど会ったことは無かった。
俺が生まれる1か月前にこの世にいなくなったから。その分会えないことが悲しかった。
なんで父さんは死んじゃったんだろうって考えてたんだけど小学生の頃事故死って聞いて仕方ないってきっと誰にも変えられない運命だったんだって思うようになった。」