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碧音目線


「ん····、」


体が固まって痛い。あぁ、昨日ベッドに寝かせて俺は座ってたんだっけ。寝ぼけた頭で考えていると右肩がいつもより重く感じた。
不思議に思い隣を見ると俺の肩に頭を預けている彼女がいた。予想外すぎてパニックになりかけながらも彼女を起こさないように元の位置へ戻った。

甘いシャンプーの匂いがほのかに伝わってくる。俺は自分の気持ちを言葉にした。返事はなかったが少しは伝たわったんだろうか?じゃなきゃ横にいるなんて考えられない。

隣の彼女を見ると規則正しく寝息を立てている。やばい、理性がもたない。昨日も一緒に寝るなんて言われて内心めちゃくちゃ焦った。

触れている肩だけでも熱いのに、もっと求めてしまう。彼女に触れたい。



「碧音ー!仕事だぞ!」



ゆっくりと流れていた時間が右京の声で壊れてしまった。つーか、今何時だ?自分の部屋のベッドに置かれている時計を見ると8時を回っていた。


「やば、マネージャーがもう来んじゃん。」



仕事があるのは嬉しいことなのに今日ばかりは恨みたい感情だった。思わず声を出したことで彼女が目を開けた。そして急いで俺から離れた。

そんな反応しなくてもいいのに。彼女が振り向いてくれるまで頑張ればいいとは思っているもののあからさまな反応は傷つく。


「ごめん、仕事があって、」

「謝らないでください·····!迷惑かけてすみませんでした!」


謝らないでいいと言った本人が謝っていることに違和感を覚えつつ俺は急いで準備をした。そして彼女にバレないようにマネージャーに電話をした。


「あのー、桜樹の妹をさ、送ってくことできる?」

《出来るわけねーだろ。馬鹿か。だいたいお前は·····、どうやったらまじ・・・・》


話が通じないとわかってすぐさま切った。無茶苦茶な俺たちを束ねてるだけあってマネージャーはなかなか厳しい人だ。
あと連絡出来んのは一人しかいねーな。