楽屋ではいつもこんな感じなんだろうなと可笑しくて笑ってしまう。
そしてリビングを見渡すけど本当に広いお家だ。

私は1時間ほど前に碧音さんの家へきた。それから右京さんが一緒に家に入ったのは髪を切ってくれるからだと思っていたのにみなさんゾロゾロと玄関で靴を脱いで上がっていく。


不思議に思っていると碧音さんは教えてくれた。


「俺ら全員で住んでんだ。言ってなかったっけ? 」


当然知らなかった私は驚いた。奏って仲良しすぎる。



「早めに美容室行って切ってもらいなね。」


右京さんにやってもらったこの髪はけっこう気に入った。なのに碧音さんは美容室を勧めてくる。


「変····ですか?」

「なんでも似合うけどさ。」

「せっかくなのでしばらくこのままにします····!」


右京さんにも改めてお礼を言った。それからお風呂を準備してくれたらしくゆっくり入っていいと言われて入ることにした。
自分の家より広いバスタブのお湯に浸かると今日の疲れが溢れ出てきた。


まさか人生で髪をこんなに短く切ることになるとは。碧音さんは怖い思いをさせたって謝ってくれたけど沙也加さんを怒らせたのは私だ。ナイフを持っていたことは怖かった。だけど私の髪を掴んで碧音さんを脅した時に頭が冷静なるのを感じた。

私と引き換えに好きな人を手に入れようなんて絶対に間違えている。なのに碧音さんは条件を飲もうとした。そんな事したって誰も幸せになれない。碧音さんの自由が奪われるくらいなら私を傷つければいいと思った。