そんな一言に驚いたのはメンバーだった。


「まてまてまてまて!川島に預けんの!?」

「え、あいつ実家暮らしなの?」

「俺といるのは嫌でしょ。でも1人にはさせたくない。」


原因を作ったのは俺なわけだし。
けど隣にいた彼女はきょとんとしていた。


「嫌な、わけ···で··は·····」


「俺の家に目的地変更していい?」


「ご迷惑でなければ荷物、だけ取りに戻りたいです。」



戸惑いながらもそう言ってくれて俺は少し安堵した。時間は気にしなくていいと伝えるとそれでも慌てた様子で家へと向かっていった。


「さすがに男の一人暮らしの家に好きな女行かせちゃダメ。」

「危険危険、あんな純粋な女の子。」

「いや、結構撃退するタイプかもよ。さっき見たろ?」


メンバーが好き放題言ってると俺の隣からスマホのバイブ音が響いてきた。彼女のスマホだ。表記名は川島だった。


「宣戦布告したれ!」


ノリノリの伊月が勝手に通話ボタンを押しやがった。


『桜音羽っちー、先輩達に会うって言ってたけど帰りついた?やっぱり送りたかったんだけど·····』


たかがメンバーの妹をわざわざ家まで送るか?


「ザンネーン。桜音羽っちは今お家に一時帰宅してマース。」


太陽が余計なことを言い出した。川島は驚く様子もなく先輩である俺らに堂々と言った。


『もしや全員お揃いな感じっすか?本当は仲良いんじゃないっすかー!·····今すぐ桜音羽っちに変わって貰えます?』