私は朝陽さんの飲み物が無くなったことに気がつき楽屋へ取りに戻るため廊下を歩いていると沙也加さんがいた。


「あれ?またカラフルBOYSといるの?」

「お仕事ですから。」


あまり関わりたくなくてその場を通り過ぎようとした。すると沙也加さんは信じられないことを言った。


「碧音ってさ、ほんとクズだよね。あなたはさっさと離れたら?まだ若くて可愛いって言ってくれる人沢山いるに決まってる。
どうせ何も知らないんでしょ?教えてあげる。
碧音は気まぐれで急にいらないって捨てるの。一緒にいても会話なんてしてくれない。そんな最低で最悪なやつと一緒になんていない方がいい。碧音の価値って父親以外にない。本人は無価値なんだから。あ、父親の財産くらいと見た目くらい?(笑)·····だから碧音の隣にいるのは私だけでいい。愛とかいらない。見た目が良くて財力があって恋人《アクセサリー》としてピッタリでしょ?(笑)」


·····息をするのを忘れそうだった。このまま呼吸をやめていれば何も言わずに通り過ぎれたかもしれない。だけど私は大きく息を吸った。そして吐き出した。



「父親にしか価値がないなんて絶対に間違ってます。碧音さんはたくさんの財産を持ってる。それはお金なんかじゃない。歌声やダンス、仲間だってきっとこれまで沢山の努力をしてきた。だからこそ、今注目されているんです。
確かに私は何も知りません。それでもあなたからは何も聞かない。碧音さんが話したいと思えば聞くし嫌だと思えば一生聞かなくていいです。


私はただ目の前の碧音さんを信じるだけですから。」