「私と来ちゃって良かったんですか?」



メンバーも知らない朝陽さんの特別な場所。そんな場所に連れてきてくれるなんて素直に驚いた。



「うん、桜音羽っちは特別。」


そんな一言を言った朝陽さんは落ち着いた雰囲気。初めて見る表情だ。
特別ってどんな時に使う言葉なんだろう。
私の知っている意味だと解釈が変わっちゃうかも。



「お腹空いた?」

「いえ、あまり·····」

「手のこともあったのに誘ってごめんね?キツかったら断ってもいいんだよ?」

「まだ帰りたくなかったので·····。」



家族4人で暮らしていた今の家はリビングが広くてお母さん達の部屋と私達兄弟それぞれの部屋がある。そこに一人でいると昼間でも少し寂しく感じてしまう。夜は特に。今日もお兄ちゃんは夜まで仕事だし暗い部屋に一人でいるとまた涙が止まらなくなる。本当は碧音さんとも一緒にいたかったんだけどなぁ。



「体調が悪い時はすぐに言うんだよ?約束。」

「·····約束します!」

「よし、(笑)軽食の方がいいならー」


朝陽さんはメニューを私に見せながらリゾットをすすめてくれた。私がトマトリゾットを選ぶとすぐに店員さんがやってきて朝陽さんは注文をした。


楽しくお話してるとすぐに運ばれてきてスプーンを手に取り食事を始めた。
合わせてくれたのか朝陽さんもトマトリゾット。