「どうしたの?」


優しい声で朝陽さんは聞いてきた。
そして本音がポツリとこぼれてしまう。


「嘘ついちゃったんです·····。」

「病気のこと? 」

「病気のことを隠そうとすると嘘が増えていってしまうんです。碧音さんには出会ってからずっと嘘を重ねてしまってる。
なのに私、離れることができないんです。
今日もまた増えていってそれでもやめることができない·····わかってたけど、最低ですよね、」



最後は冗談ぽく言ってみたけど見抜かれちゃうかな。



「先輩なんてもっと嘘をついてると思うけど?」


キョトンとした表情で言ってるけど仮にも先輩をそんなふうに言って大丈夫なのかな。


「噂の真相はわかんないけど芸能人として生きてる以上全て本音で話すなんて難しいし、多かれ少なかれ誰でも嘘や秘密はあると思うよ。
桜音羽っちが嘘をつくのは悪くない。」


私の手を握ってる力が強くなった。
それだけ伝わって欲しいって思って言ってくれてるのかな。


「嘘をつかないようにするには秘密(病気)を話すしかない。
でも秘密を作ってるのは桜音羽っちが優しいからこそだよ。
嘘をつきたくない時は僕を呼んでよ。
なんでもぜーんぶ話そう!
5分、1時間、1日でも、沢山聞くから!」