「俺が誘ったんだから気にしないで。
こいつらは一応俺の後輩だしね。」


「あざっす! 」

「男前〜!」



「ありがとうございます、碧音さん⋯!」


「どういたしまして(笑)」



良かった。
いつもの碧音さんに戻ったみたいだ。


「アトラクション何に乗る?」

「まずは絶叫系ですって!」



浬さんに引っ張られて私達はジェットコースター乗り場に到着してしまった。
まずいな⋯明らかに出来ない。
先生はアトラクション全体を言ってたし、やっぱり無理だ。
だけどなんて言おう·····。



〔とりあえず並ぼ。〕


私にこっそり言ってきたのは朝陽さん。
何か秘策があるのかな。


「ほら、行くよ?」



碧音さんに言われるまま並んだ。
そして家族と来た日を思い出した。
テーマパークは想像以上にアトラクションの待ち時間が長い。
唯一の救いは今が真夏じゃないことくらい。


「碧音さんって友達いるんすかー?」

「山崎、バカにしてんだろ。」

「あ、気まづ·····」

「川島は殴られたい?」


あともう一つ。
この長い待ち時間の何気ない会話は結構楽しいものだった。

その後も待ってる間、浬さんは無自覚に朝陽さんは多分意図的に先輩の碧音さんを怒らせてた。
私はそれを見ていると面白くなってきて笑ってしまった。
困り顔でこちらを見る碧音さん。
だけど気づいてしまった。
後輩にバレないように隠してるのかもしれないけど楽しんでる雰囲気が伝わってきた。