「親友だから。ね?」



その上目遣いは素直に可愛いと思ってしまい、私は無言で頷いた。



「「俺達も名前で呼んでよー!」」



悲しそうな顔のおふたり。
これからきっと少しの時間だけどお世話になるから呼んだ方がいいかな?



「·····浬さん?、と朝陽さん?」


「「・・・・・・・!!!!!」」



2人とも固まってしまった。



「気にしないで行こ。」



楓ちゃんはそう言って歩き始めた。
2人はまだ固まっていてついてきそうにない。



「い、いいの?」


「名前呼ばれて感動してるだけだから。
めんどくさいし置いて行こ。」



そのまま楓ちゃんは近くのお店へ入った。



「可愛い·····!」



そこは小規模な雑貨店だった。



「桜音羽は腕時計もってる?」


「持ってないなぁ。」


そもそも普段アクセサリーを身につける習慣がない。



「どういうのが見やすいの?」



確かに腕時計と言っても色んな表示のものがあるんだなぁ。



「これ、かなぁ。」



1〜12までしっかり読めて梟の柄と緑のベルトが可愛い。



「へぇ·····センスいいね。」



センスのある楓ちゃんにそう言われると素直に嬉しい。



「桜音羽っち!!!」



お店の外から私を呼ぶ声がした。
浬さんと朝陽さんだ。
2人の雰囲気には置いていかれたという悲しさや怒りはなさそう。