「嫌じゃないです·····!」



私はとっさに否定した。



「ならよろしくね。
名前、さん付けはやめて。
あと敬語もなし!」



こんなに素敵な人と親友になれるなんて素直に嬉しい。



「よろしくね。楓ちゃん·····!」


「メイク再開するよー。」



病気になってから親友が出来るなんて思ってもなかったなぁ。

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「出来た·····!!」



男装メイクは何とか形になったように見えた。
あとは楓ちゃんの審査を通るだけ。
これが厳しいんだよなぁ·····じっくりと私の顔を見つめてる。



「うん、合格!」


「・・・・・・!!!!!」



良かった。
これで小戸森さんに会えるかもしれない。って、浮かれすぎかな。



「外ではなるべく声に気をつけてよ。
それで気づいちゃう人もいるから。
まぁ桜音羽は声が小さいからバレないとは思うけど。」



一応気をつけとかなきゃな。
小戸森さんの夢を邪魔したく無い。



「ねぇねぇ、楓ちゃん。」



私は初めてこんなにしっかりしたメイクができて嬉しかった。
男装メイクだけど。
このまま終わりは嫌だった。



「これでバレないか確認するためにも一緒にお出かけして欲しいなぁ·····なんて」



自分から人を誘ったりするなんてお兄ちゃん以外にしないから緊張してしまう。