「じゃあ話もまとまったし、そろそろ出ようか。」



お兄ちゃんは立ち上がり宇喜多さんにお会計を頼んだ。



「え?お代貰わないよ?」



その言葉に私とお兄ちゃんは固まってしまった。
そしてお兄ちゃんは慌てながら言った。



「いやいや、そんなの悪いです!支払います!」


「いやぁ〜、あおの後輩から貰う訳にはいかない。」



宇喜多さんは頑なにそう言った。



「でもそういう訳には·····」


「あおの事、尊敬してくれてるんでしょ?
碧音がよく話してくるんだ。
『カラフルBOYSっていう後輩達はまだ若いけどそれぞれ実力も持ってる。
奏は全員気に入ってるんだよね。』····てね。
おっと、話したらあおに怒られるかな?」



少しわざとらしい宇喜多さん。
お兄ちゃんは黙ってしまった。
顔を覗くとなんとも言えなさそうな顔。
そして口を開いた。



「いや、あのほんと払うんで·····!」


「ありゃ?尊敬してなかった?(笑)」



気まずそうなお兄ちゃん。



「数週間前までは尊敬してましたよ。
これは嘘じゃないです·····!
ただ妹連れ回されたりするともう信頼も何もないじゃないですか·····なのに先輩達からそんなふうに思ってもらえてるって言うのはすごい嬉しいですし·····今自分の感情もよくわかんないんですよね·····」



宇喜多さんは大爆笑。
私もお兄ちゃんの後ろで少し笑ってしまった。