私が解放されたのは、校門を出た後のことだった。

校門を抜けるまでの間、たくさんの生徒達からじろじろと見られた。

あまりにも恥ずかしくて、ずっと顔を隠していた。

明日から私のあだ名は米俵になってしまう。

最悪だよ。

私がたくさんの人に見られながら連行されている途中のこと。

やっぱアイツヤバいわとか、あのヤンキー頭おかしいとか、そういう言葉が聞こえてきた。

間違いなく、シュンに対して言っている。

そう言われてまで、なんでこんなことをするのか不思議だ。

『おい。帰るぞ。』

私のことを地面にゆっくりと下ろした後、そう言った。

何も言いたくはなかったけど、尋ねてみた。

『…ほんと、何がしたいの?』

『…帰るぞ。』

そう言ってシュンは歩き始めた。

答えるつもりは無さそうだ。

もう学校の敷地からは出てしまったから、部室に戻るつもりはない。

歩き出したシュンの服の袖を掴んだ。

そして、歩道の真ん中で私は声を上げた。

『やっぱサクヤさんのこと嫌いなんだ!いつもそうだけど、本当に園芸部のこと興味ないんだね!最悪だよ!なんでまだ部にいるの?そんなに興味ないなら今すぐ辞めたらいいのに!』

『…あ?』

振り向いたシュンが、ものすごい形相で睨んできた。

ここで初めて、激しい怒りが伝わってきた。

泣きそうになってしまった。

決して顔が怖かったからじゃない。

悲しかったから。

シュンに対しては色々と思うところはあるけど、友達だとは思っていた。

友達にそんな顔されたら、どうしたって悲しい。

『ほんと何がしたいの?わからないよ!わたしにもわかるように言ってよ!友達だと思ってたのに!やっぱわたしのことも嫌いだったんだ!』

『…ちっ。』

舌打ちをしたシュンが呆れた顔をしている。

でも、もう怒ってはなさそうだ。

呆れたというよりは困っている…?

もう分からない。

『何も言わないの?』

『せっかくだ。話しておく。ついてこい。』

尋ねると、シュンはそう答えた。

そして再び歩き出した。

私は黙って後ろをついていった。