『おはようございまーす。』

校門が近づくに連れて、風紀委員と思われる上級生達の声がする。

朝から大変そうだ。

『ちょっときみ!待ちなさい!』

校門を抜け、校舎へと向かい始めた直後、後ろの方から大きな声がした。

驚いて振り返ると、そこには数人の風紀委員に囲まれた男の子がいた。

『なに?その頭と耳は!?』

どうやら、その男の子は金髪のようだった。

比較的校則の緩い学校ではある。

でも、入学式から見逃してもらえる程、甘くはないようだ。

よく見ると、耳に大量のピアスもつけている。

『うるせーな。』

男の子は面倒くさそうに言い放ち、先輩達を無視して、そのまま校舎の方へ歩き出した。

『待ちなさい!』

風紀委員の先輩達は声を荒げて、その男の子を追いかけた。

驚いた。

あんな絵に描いたような不良生徒が、この学校にいるなんて。

なんでこんな普通の学校に来たんだろう。

疑問ばかりが浮かぶけど…。

平穏な高校生活を過ごすためにも、アウトローぎみな人とは絶対に関わらない方が良い。