4月。




それは平等に訪れる。




私は憂鬱で仕方なかった。




「…はぁ」





「ため息つくな。幸せが逃げるっていうだろ?」




双子の兄の立花てる(たちばなてる)は少し笑って飲みかけのコーヒーを口にした。




「だって、みちると高校生活って嫌な予感しかしないんだもん」




「心強いだろ?」




「でも…」




私は懸念があった。




それは大きな大きな懸念。





その人は笑顔で今日も当たり前のように私の家にいる。




よく通った鼻筋、綺麗な平行二重、少し黄色のような珍しい色の瞳。フワフワした黒髪天然パーマ。




そんな整った顔立ちの彼は言った。




「らる、好きだ」