「なんで泣いてんの?」
もう涙は乾いていたと思ったのに、
泣いていたことに気づかれた。
「いや、これは」
「とりあえず立ち話もなんだから。おいでよ。」
タバコを灰皿にいれて、ベンチを指差す彼。
「なに、俺のこと怖い?」
チャラい装飾とは裏腹に
よく見ると童顔で可愛い顔だち。
大人な香水の香りが、心拍数を上げる。
「や、、怖いとかじゃないですけど、、」
「全然目合わせてくれないじゃん。
まぁ、いいけどさ。
君、名前は?」
「南野はなです。」
「鼻?」
長い指が伸びてきて、鼻をつんと押される。
なにこの失礼なひと、、、
「違います。フラワーの方です。」
「へぇ、奇遇だね。
うちの猫ちゃんもリリーだから、お花なんだ。」
「そうなんですか、、、」
だからどうしたと言うんだ、、、
「南野、はな。
なんか聞いたことあるんだよね。
もしかして、主治医の名前、石田?」
「石田先生ですけど、
なんで知ってるんですか?」
「俺の親だもん。
俺は息子の石田蓮。
で、俺はここの後継ってわけ。」