、、、そんなの、建前だ。

本当は、独りが怖い。

今ならまだ間に合うかな。

どこにあったのか、最後の体力を使って

病室を飛び出した。

運良く佐倉先生はまだ廊下にいて

なんとか追いつく。

「せんせっ、、、」

数日ぶりに走ったので息が続かない。

やばいっ、倒れる。

「っちょ、はなちゃん?!」

崩れ落ちるわたしを支えてくれる先生。

「なにしてんの?!

急にどうし」

「ごめんなさい、先生。

嫌いにならないで。

許して、」

先生の白衣に、雨のように涙の跡ができていく。

「ちょっ、一体何の話?

一旦落ち着いて。」

「独りはやだ、、、

もうわがまま言わないから、

どこにもいかないで」

深夜の廊下。

差し込む月明かりだけがふたりを照らす。

「はなちゃん、よく聞いてね。」