〈はなside〉
「ただいま。」
「おかえり、はな。
ねぇ、顔色悪いけどちゃんと病院行ってきたの?」
キッチンから手を拭きながら現れたお母さん。
その不安気な顔にうんざりする。
最近より一層過保護で
顔を合わせると喧嘩ばっかり。
「行ってきたよ。ちょっと疲れてるだけ。」
「最近調子悪そうなのに、
お薬いつもと同じなの?」
手に下げている処方薬を見ながらお母さんは言う。
診察を無理くり切り上げたから
いつもの薬だけしかない。
「しつこいよ、お母さん。やめて。」
「しつこいんじゃないの。心配なの。
ご飯できてるから、手洗って食べて。」
「いい、お腹空いてない。
明日も早いから寝るね。」
「はな!ちょっと!」
引き止めるお母さんを振り切って自室に入る。
お母さんも佐倉先生も一緒だ。
もう、ほっといてくれればいいのに。
家の階段を駆け上がるだけで息が続かない。
そうだ、今日の処方薬に発作止めがあるはず。
1ヶ月分束になった沢山の薬を漁る。