午後の実習も終わって、すっかり夕方。

キスマを隠しながら実習で

気を張ってて疲れた、、、

「はな、帰らないの?」

「うん、少し寄らないといけないところがあって」

「わかった、じゃあまた明日ね!」

手を振って美波と別れる。

全然行きたくないけど、診察行かなきゃ、、、

鉛のように重い足を引きずって

佐倉先生の診察室に向かう。

静まり返る外来棟の廊下に

私の足音だけが響く。

佐倉先生の診察室に近づくにつれ、

話し声が聞こえてきた。

誰だろう。

診察室のドアに耳をつけて聞き耳を立てる。

この声は多分、龍くんと、佐倉先生だ。

なんの話してるんだろう。

「佐倉先生は、彼女さんとかいないんすか?」

「いないですよ。」

「へ〜、モテそうなのに意外ですね。

僕、最近佐倉先生を紹介してくれって

めちゃくちゃ言われてますよ。」

「いや、ずっと狙ってる子はいる。

ただ、その子最近彼氏できちゃったから

少し様子見中ってところですかね。」