そのあとは念願のベビーカステラを買って

境内の中のひとけのない場所に2人で座った。

「ちょっと、蓮くん。

ベビーカステラ

半分くらいもうないんだけど、、、」

お店から少し歩いている間に

半分くらい食べられてしまった。

「だって、うちおせちとか

the・正月って感じのものしかないから

食べる物なくて

腹減ってたんだもん。」

「そうだよね。

蓮くんのおうちはちゃんとしたお家だから、

お正月もおせちとかあるんだね。

おせちは作るの大変な割に、

美味しくないから作らないって

うちのお母さんは言うけど」

「はなのお母さんが正解だよ。

佃煮とか栗きんとんとか、

ご飯なのかおやつなのかよくわかんないし。

三が日は実家にいないと怒られるし、

はなの家みたいな家族、憧れる。」

「あ、そうだ。

お腹空いてるなら、これ。」

カバンに入れていたクッキーを手渡す。

「はなが作ったの?」

「うん、

蓮くんの肥えた舌には

敵わないかもしれな、、、」

と、私が言い終える前に、

すでに口に運ばれていたクッキー。

「美味しい。

手作りのクッキーとかいつぶりだろ。」

すごい勢いで消えていくクッキー。

ベビーカステラ食べて、クッキーって

体にあんまりよくなさそうだけど

まぁいっか、、、

「今までさ、手作りとかしたことない

お嬢様みたいな人としか関わったことないから

こういう手作りのお菓子、すんごい嬉しい。

ありがと。」

無邪気な顔で笑いかけてくる蓮くん。

「蓮くん、すこしはなしがあるの。」