翔は、果穂と可奈の料理する姿を見守りながら、キッチンにあるダイニングテーブルの片隅にノート型パソコンを開き、急ぎの仕事を片付け始める。

果穂と可奈は唐揚げを作ろうと、2人で下ごしらえをしていた。

「翔さん休日もお仕事なんてやっぱり社長さんって大変なんだね。」
そんな翔の姿を横目に、可奈が果穂に話しかける。

「何かね、会社の仕事以外にもセミナーとか、大学の特別講師とか、いろいろ抱えてるみたいで、休みの日はそっちの仕事があって大変そうなの。」

「へぇー。凄いね!
そういえばこの前、経済誌の対談の記事見たよ。結婚した事書いてあった。」

「そうなの?
社外にも結婚した事を話すとは聞いてたけど…、経済雑誌なんだ。」

「えっ!果穂ちゃん見た事ないの?
コンビニ行くと置いてあるよ。
一回見とくべきだよ!
買ってきてあげようか?」

「あっ、大丈夫。
多分、翔さん的には私に見て欲しくないんだと思う。」

「そうなの?写真すっごいカッコいいよ?」

「写真は、見たいけど…。」
チラッと翔の顔を盗み見る。

何処にいても、何をしてても絵になるなぁと、見惚れてしまう。

「凄い…。タイプ打ち、早くない⁉︎
ピアノ弾くみたいに打ってるんだけど…。」
可奈も手を止めて、見入ってしまう。

「手先が器用なんだろうね。両利きなんだって。」

「その話、亮太から聞いたよー。出来る男は
違うわー。」

手を動かしながらも、女子2人、お喋りに花が咲く。