やっと女子2人から解放された亮太がソファにどかっと座る。

「何だよー。しょう、ちょっとは助けに来てよ。」

翔は自業自得だろ、と心で思うがあえて口にせず、
「お帰り…、お疲れ様。」
と、労いの言葉をかける。

「しょうっていつもそんなに冷静なの?」
恐れ知れずの亮太は、翔に単刀直入に聞いてくる。

「果穂に出会ってから、これでも人間らしくなったって言われるけど?」

「ふーん。果穂限定な。
まぁ、社長ってのはそのくらい冷静じゃ無いとやっていけないんだろうな。」
1人納得した亮太はそう言って、
翔に同情の目を向ける。

「弟からもロボットみたいだったって言われたから、元々持って生まれた性格なんだろと思うよ。」
よく社長業をしているから、
何事に動じ無い、強い精神を持っているかのように思われがちだが、
ただ単に感情が動く可動域が人より狭いだけだと自分では思っている。

「ところでさ。
しょうは何で、果穂と入籍するのに半年で決めれたんだ?
俺なんて、高校の時からだから10年近く付き合ってたけど、なかなか結婚っておもえなくて、結局成り行きみないな感じで籍入れたからさ。」

「なんで…?
果穂は可愛いから俺が少しでも隙を見せたら、直ぐに他の誰かに掻っ攫われるだろ。
他の誰かになんて指一本触れられたくない。」

「…意外と熱いな…、
でもさ。お互い長く一緒にいたら、
嫌なところとかダメなところが見えて来るだろうし、こんな早く入籍して後悔するかもしれないぜ?
それに、俺がお前みたいに完璧な男だったら1人の女に縛りつけられずに、もっと遊びまくるけどな。」

翔にそう言う時期がなくも無かったから、
下手な事は言えない。

それに、果穂に会うまでは結婚には不向きだと自分自身、思っていた。

「むしろ、果穂にダメな所なんてあるのか?」
翔にそう聞かれ、亮太はしばらく考える。

「そうだな……、
無自覚な可愛さと、無防備に他人を信じる所かな。
…でもそれが果穂らしくもあるし、
長所でもあるんだよなぁ。

純真な心とか、底深い優しさとか、
とにかく俺の果穂は底無しに可愛い。」

「それには同意する。
だけど、果穂は俺のなんで。お間違えなく…。」

「はぁ?
果穂は一生俺の妹なんだよ。
お前だけに独り占めさせないからな。」

「そろそろ、過保護な兄は卒業するべきだと思うが。」
こればかりは譲れないとお互いムキになる。