実家に荷物を置き、ひとまず湖の教会がある式場へと向かう。
真っ白な教会は、
湖に向かって一面ガラス張りで、
それはそれは綺麗だった。
大きさも程よくて、果穂も一目で気に入ってしまう。
翔もそんな果穂を見て満足する。
「どうですか?
挙式の後にクルージングでお食事でもいいですし、会場のプールサイドでバーベキューも最近は人気です。
後は、レストランでも勿論出来ます。」
支配人だと言う、白髪の紳士がわざわざ出て来て案内してくれた。
広い煌びやかな部屋に通され、
「お時間があるようなら、ランチをどうぞ。」
と、VP待遇されてしまう。
「あの、翔さん?何か言ったんですか?」
また、魔法のコネを使ったのかと思って、
果穂は小声で小さく聞く。
「いや、何も。
ただ、見学したいって頼んだだけだ。」
貸し切りのスイートルームの様な部屋からは湖が一望でき、眼下にはプールがゆらゆらと揺らめいている。
「なんだか海外のリゾート地に来たみたい。」
果穂がそう呟いて、夢見心地でバルコニーに出て景色を楽しんでいる。
今日の果穂は、つばの広い麦わら帽子をかぶり、真っ白なノースリーブのワンピースに淡い空色の涼しげなカーデガンを羽織っている。
「果穂、日焼けしたら困るだろ?
そろそろ中に入った方がいい。」
「はい。でも、ここ凄く風が気持ちいい。」
翔は近付き、太陽を遮る様に果穂の横に立つ。
「本当に、リゾート地に来た感じだな。」
翔も束の間、果穂と一緒に景色を楽しむ。