会社の屋上からヘリコプターは飛び立つ為、お迎えに来てくれた社有車に乗り込む。

8時半、
車からヘリコプターに乗り換える。  

屋上に立つと、ヘリコプターのプロペラが巻上げる風の凄さに圧倒される。

翔は果穂が飛ばされない様に、
手をぎゅっと握りヘリコプターまで誘導して乗せてくれる。

ヘリコプターが高く舞い上がり、 
果穂の心拍も急上昇にドキドキと高鳴る。

「大丈夫か?」

果穂はこくんこくんと頷くが、
流石に高くて思わず翔の腕に抱きつく。

そんな果穂が可愛くて、
翔は満面笑顔でヨシヨシと頭を撫でる。

スカイツリーがどんどん小さくなって、
富士山辺りを通過すると、果穂もやっと気持ちが落ち着いて、景色を満喫する事が出来た。

35分の空の旅が終わり、
あっという間にに実家のそばのホテルの屋上に到着する。

「凄い…、本当にあっという間…。」

気付けば同棲を始めてから、一度も帰って無かった事に、
今更ながら気付いた。

「ヘリは早くていいんだけど、プロペラの音が意外と煩いんだよな。」
翔が贅沢な悩みを言う。

ふふっと果穂は笑い、
「35分くらいなら我慢しましょ。」
と、翔を宥める。