果穂は寝返りをうっただけでまだ眠り続ける。
ホッとして、雅也をひと睨みする。

「で、何?」

「お前、フルリモートワークに切り替えたいんだって?」

「ああ、いずれな。
果穂の地元のcafeが完成したらそっちを拠点にしたいと思ってる。」

「俺らに仕事振り分けて?」

「不満か?」

「いや、お前が今までこんな細かい事まで1人で全部やってたんだなと思って、感心したよ。
それを振り分けるのは良い事だと思うし、
もっと見直して簡素化も可能だと思う。」

「良かった、お前が話の分かる奴で。」

「でも、本社にお前が居なくなると、
社員個々のモチベーションが下がりそうだなぁと思ってる。」

「週1くらいで通うならいいか?」

「そうなると、やっぱ社有ヘリが必要だよな?」

「まぁな。
近々、目標の売り上げに達するだろ?
そしたら本格的に始動したい。」

「俺の知り合いで、ヘリを飛ばせる奴がいた。うちで雇うか?」

「今は、何してるんだ?」

「自衛隊。」

「……自衛隊?簡単に辞めれるのか?」

「護身術も出来るしボディガードにもなるぞ。」

「どう言う知り合いだよ。」

「飲み仲間。」 

「信頼できる男か?」

「今、興信所雇って探ってる。一度会ってみないか?」

「分かった。予定を新田と合わせておいてくれ。」

「了解。来週辺りでも良いか?」

「任せるよ。」

そんなやり取りを繰り返し、パッパと決めて行く。

雅也はこう言う時に、頭のキレが冴える。

「ありがとう、後はよろしく。」

「また、果穂ちゃんが起きたら教えてよ。
話したいから。」

「……分かった。」

そう言って、雅也は部屋を出て行った。

正味10分程で結構いろいろ決まった。

果穂の地元に探しているcafeの土地も決まり、
そろそろ地元の建築士による打ち合わせも始まる。

地方1号店だ。
慎重かつ丁寧にしかし、迅速に進めて行きたい。
果穂の実家にも近々顔を出したいな。

書類の決済を進めながら、いろいろ考える。