「なんで?何でそんなに良い子なの⁉︎
太刀打ち出来る訳ないじゃない……
私に勝ち目、無いじゃない…。」
えっ?消えそうな声で、戸川がそう言うのを果穂は信じられない顔で見ている。
「戸川さん、
私は貴方が羨ましいと思っていました…。
翔さんの隣にいても、違和感がなくてお似合いだと思っていましたから…。
戸川さんは、仕事の出来るカッコいい女性です。私はそんなに高いピンヒールは履けないですし…。」
果穂は寂しそうに笑う。
「でも、社長は私なんて1ミリ足りとも見てくれなかった…
7年間そばにいたつもりだったのに、どんなに頑張っても私はただの社員でしか無かったのよ…分かってるの…私の負けよ…」
今にも泣き出しそうな戸川を慰める様に果穂はみかんパフェを差し出して言う。
「みかんパフェ食べてみて下さい。
素人の私が作った物を、プロの人に食べてもらうのはなんだか恥ずかしいんですけど…。」
「いただきます…。」
戸川は、受け取りひと口食べる。
もうひと口…、何も言わずに食べ続ける。
目には涙を溜めて震えながら……
鼻を啜りながら……そして全て食べ終える。
「美味しいかったわ……ご馳走様…。
凄く考えられてる。貴方1人で考えたの?」
「はい、私スイーツが大好きなんです。
だから美味しいものを考えるのは趣味みたいなものです。
戸川さんは、それを仕事にしている人ですよね。凄いです。」
「凄いのは貴方よ。
私にはこんな発想、出来無いわ…、
私も、地方出身者なの。
こっちに出て来た時、田舎者だって舐められたく無くて…一生懸命武装したの。
出来る女に見られたくて、社長の隣に並びたくてピンヒール履いて頑張ってきたの。
私は見せかけなのよ。
本物は貴方の方…勝てる訳ないわ……。
ありのままの自分で受け入れられる貴方が本物よ。」
戸川が認めてくれている?私の事を……
果穂は信じられないと言う顔で、しばらく戸川を見つめていた。
「そこで、社長とうちの部長が心配そうに見守ってるわ。」
戸川が指を差す方を見る。
「貴方は社長に愛されてる。羨ましい…。」
「いいえ、お忙しいのに…幹部が2人
戸川さんの為に時間を割いて来てるんです。戸川さんも充分愛されてますよ。」
果穂はニコリと笑いそう言う。
「部長さんはコーヒーお好きですか?」
「…彼はアイスラテかしら。」
「分かりました。差し入れしますね。」
そう言って、果穂はアイスコーヒーとアイスラテを作り始める。
戸川はそんな果穂の姿を見ながら、ささくれだった心の棘が1枚ずつ、剥がれていくのを感じていた。
太刀打ち出来る訳ないじゃない……
私に勝ち目、無いじゃない…。」
えっ?消えそうな声で、戸川がそう言うのを果穂は信じられない顔で見ている。
「戸川さん、
私は貴方が羨ましいと思っていました…。
翔さんの隣にいても、違和感がなくてお似合いだと思っていましたから…。
戸川さんは、仕事の出来るカッコいい女性です。私はそんなに高いピンヒールは履けないですし…。」
果穂は寂しそうに笑う。
「でも、社長は私なんて1ミリ足りとも見てくれなかった…
7年間そばにいたつもりだったのに、どんなに頑張っても私はただの社員でしか無かったのよ…分かってるの…私の負けよ…」
今にも泣き出しそうな戸川を慰める様に果穂はみかんパフェを差し出して言う。
「みかんパフェ食べてみて下さい。
素人の私が作った物を、プロの人に食べてもらうのはなんだか恥ずかしいんですけど…。」
「いただきます…。」
戸川は、受け取りひと口食べる。
もうひと口…、何も言わずに食べ続ける。
目には涙を溜めて震えながら……
鼻を啜りながら……そして全て食べ終える。
「美味しいかったわ……ご馳走様…。
凄く考えられてる。貴方1人で考えたの?」
「はい、私スイーツが大好きなんです。
だから美味しいものを考えるのは趣味みたいなものです。
戸川さんは、それを仕事にしている人ですよね。凄いです。」
「凄いのは貴方よ。
私にはこんな発想、出来無いわ…、
私も、地方出身者なの。
こっちに出て来た時、田舎者だって舐められたく無くて…一生懸命武装したの。
出来る女に見られたくて、社長の隣に並びたくてピンヒール履いて頑張ってきたの。
私は見せかけなのよ。
本物は貴方の方…勝てる訳ないわ……。
ありのままの自分で受け入れられる貴方が本物よ。」
戸川が認めてくれている?私の事を……
果穂は信じられないと言う顔で、しばらく戸川を見つめていた。
「そこで、社長とうちの部長が心配そうに見守ってるわ。」
戸川が指を差す方を見る。
「貴方は社長に愛されてる。羨ましい…。」
「いいえ、お忙しいのに…幹部が2人
戸川さんの為に時間を割いて来てるんです。戸川さんも充分愛されてますよ。」
果穂はニコリと笑いそう言う。
「部長さんはコーヒーお好きですか?」
「…彼はアイスラテかしら。」
「分かりました。差し入れしますね。」
そう言って、果穂はアイスコーヒーとアイスラテを作り始める。
戸川はそんな果穂の姿を見ながら、ささくれだった心の棘が1枚ずつ、剥がれていくのを感じていた。