「冷たいだろうが、あのくらい言えば彼女の目は覚めたんじゃないか?
なんなら俺を嫌いになってくれればそれに越した事はない。」
苦笑いをして、優斗を見る。
「…仕事が出来るのと恋愛はまた別なんだな…もっと賢い人間だと思っていたんだけど…
戸川があんな奴だとは思わなかった…。」
優斗が戸川が出て行ったドアを見つめ、
ポツリと呟く。
そして立ち上がり、
「部下が、この度は失礼な物言いをして、
社長の大切な人を傷つけてしまい、
申し訳けありませんでした。
上司として、監督不行き届きです。」
優斗が俺に深々頭を下げる。
「頭を上げろ。
仕事外の事だから、お前のせいじゃ無い。
俺は良い親友を持ったと改めて思っていたところだぞ。」
笑いながらそう言って、優斗に非は無いと伝える。
「僕からも是非、奥様に直接謝罪をさせて頂きたい。」
まだそう言うので、ハハっと笑って一言いう。
「どさくさに紛れて果穂に会おうとするな…。」
「……さすがにバレたか。」
頭を上げて、笑いながら優斗がそう言う。
優斗も雅也も同志である前に、大事な親友だ。
この騒動が落ち着いたら、家にでも招いてやろうと思う、果穂もきっと喜ぶだろう。
戸川に関しては、もしもプライドが邪魔をして謝れないのならそれまでだ。
自分で自分の首を絞める事になるが、自主退社を促すしか無い。
それでも会社に居続けらるならその神経を疑うが…。