社長室に戻り、上司である部長の優斗と俺で戸川の話を聞く事にする。


トントントン


「はい、どうぞ。」

そっとドアが開いて、神妙な顔の戸川が入って来る。

ソファに座るように促して、俺と優斗、戸川で向かい合う。

「なんで呼ばれたか分かりますか？」
優斗が静かに話しを切り出す。

「昨夜の、…社長の奥様の対応について…でしょうか？」

「その通りだ。
戸川さんから何か、その事について意見が有れば言ってくれ。」
俺も冷静になって話しを聞き出そうと耳を傾ける。

「昨夜、初めて社長の奥様にお会いして…
社長は騙されているのでは無いかと…
あの手の、純情を装ったあざと可愛い女子は、最近巷に溢れてますので、どんな方かを見破ってやりたいと思いました。」

なんて言う言い草なんだ⁉︎

一方的な思い込みだけで、果穂を傷つけたのかと翔は無性に腹が立つ。

「そんな事を俺が君に頼んだか？」

気持ちを抑えながら、冷静を装って話しかける。

「いえ……
でも、私は立ち上げ当初から社長を知っています。
社長にはもっと相応しいお相手がいると思います。
……なぜ、彼女なのですか？」

真剣な目で戸川は訴えでくるが、
なぜ、ただの一社員にそんな事を言われなきゃならないのか…、

「なぜ⁉︎
こっちの方が聞きたい。
なぜ、身内でも無い君に果穂の事を侮辱する権利が？彼女の何を知っている？

会ったのも話したのも昨夜が初めてだった筈だ。
見た目で判断しただけなら思い違いもいいところだ。」
冷たい視線を投げかける。

「きっと、社長は騙されているんだと……思って早く目を覚まして頂きたいと…。」

中ば呆れて冷めた目で戸川を見る。

何を言っても話が通じそうも無い。

「果穂は君が思ってる様な子じゃ無い。
それに、彼女の事を良く知らない君にそんな事を言う筋合いは無いと思うが？

俺は彼女を愛している。
彼女を侮辱する事は、俺の事を侮辱しているのと同じだとみなす。」