眩しい世界が突然現れ、目が眩む。

翔に先導されながら、果穂は慣れない着物で階段を一歩ずつ丁寧に降りる。

沢山の拍手に包まれ緊張の中、
前を見る事も笑顔を作る事も出来ず、
果穂はひたすら階段を降りる事に徹する。

「果穂、俺を見て。」

不意に翔がそう言うから、
えっ⁉︎と、思わず顔を見る。

「これが終わったら、新婚旅行に行こう。」

え……えっ⁉︎
こんな時に突然?
果穂は目を見開いて驚く。


翔は笑顔で、
「明日から一週間休みを取ったんだ。
海外でもいい。何処に行きたい?」

「本当に⁉︎」

「ああ、本当だ。」

「私、海外行った事ないから……パスポート無いよ?」
招待客が一斉に見てる中、階段を降りながら
する話⁉︎

「大丈夫。用意してある。」

「えっ⁉︎」

「何処がいい?暖かい所がいいだろ?
バリとかハワイ、オーストラリア?」

「オ、オーストラリア…。」

「よし、決定。」

「ふふふっ、嬉しい。」
果穂が笑う。

気付けばびっくりして緊張が何処かにいってしまった。

2人で笑いながら最後の2段を降りる。

「きゃっ!」
果穂が階段に躓いて落ちそうになる。
すかさず翔が抱き止めて何事も無かったかのように、ふんわりと抱き上げ一気に下まで降ろしてくれた。

「ありがとう。」
2人笑い合って事なきを得る。