「チョコ食べるか?」

「可愛い。どうしたのこれ?」

「バレンタイン用の試作なんだ。果穂にも意見聞きたくて、持って帰ったのを思い出した。」
小さなプラスチック容器に入れられた、
ハート型の一口大のチョコを取り出し、

「口開けて。」
銀紙を破り果穂の口の中にいれる。

赤色の口紅は、妖艶な色気を漂わせて俺を惑わす。
口づけしたい衝動なんとか抑える。

「美味しい…、チョコの中から何か出てきた。」

「ラズベリー、キャラメル、ミルクの3種類がランダムで入ってるんだ。」

「食べてみないと中身が分からないって事?」

「そう。あえてその方が面白いだろ?」

「へぇ、面白いね。出る味で占いとか出来そう。」
その発想が面白いな、と翔は思う。

「いいね、そのアイデア。
さっそく採用しよう。」

「本当に?完成が楽しみだね。」
嬉しそうな果穂の口に、もう一つチョコを放り込む。

「うわぁ、酸っぱい…これラズベリーだね。」

「もう少し甘くするべきか?」
果穂の味覚はいつも商品開発の参考になる。

「甘過ぎてもラズベリー感が無くなると勿体無いし…、難しいね。
もう少しトロッとしててもいいかも。」

「分かった。優斗に伝えておく。」

そんな話をしていたら果穂のヘアアップが完成した。