「お前は、子供の頃から何を考えてるか分からない不気味な所があったが…、
意外と話して見ると、私と同じ様な事を考えていたのかも知れないな。」

「親父こそ、話しかけ辛いオーラを醸し出してただろ。 
絶対こっちから話しかけるものかって思ってただけだ。」

そんなことを言い合えるほど打ち解けたんだと、果穂はびっくりする。

「果穂さん、こんな可愛げの無い男だがどうか末長くよろしく頼むよ。」
そう言って父は笑う。

「翔さんは完璧な人なので、それに可愛い人ですよ。
私の方が何も出来なくて…申し訳ないくらいです。」

翔を可愛いと言って許されるのは果穂ぐらいだろうと、翔自身も思うほど惚れ込んでいる自分に苦笑いする。

「果穂は、そのままで充分だ。
俺はいつも果穂の優しさに救われている。」
そう、翔は普段から思ってる事を素直に口にする。

「可愛いか?これが?」

父は、可愛いと言う言葉からあまりにかけ離れた息子を指差し、不思議そうに果穂を見る。

親父にこれ呼ばれされ面白く無い翔は、 そろそろ帰るかと果穂を誘う。

「果穂、そろそろ帰ろう。
ドレスも試着しないといけないだろ?
俺も見たいから余り時間が無い。」

「あっ、はい。
あの、お義父様、いろいろと披露宴の準備をしてくださりありがとうございます。
当日は失敗しないよう頑張りますので、
どうぞよろしくお願い致します。」
模範生の様な挨拶をして、ソファから立ち上がり翔の後に着いて歩く。

「じゃあ、また近いうちに顔出すから。」
と、翔は言って果穂の手を取り部屋から去って行く。

翔が可愛い件について、今後詳しく聞いてみようと、父は思いながら仲睦まじい2人を見送る。