果穂の見た目は可愛らしく、
微笑ましい存在で、守らなければと思わせるような、ふんわりとした雰囲気がある。

だが、いざとなると芯の通った凛とした姿を見せるのだと、よく知らない他人から聞かされ驚かされた。

聞くと、以前行われたパーティーで、翔を巡って少しトラブルが起きたと言う。
 
まぁ、見た目は元妻に似て、端正な顔立ちでそれはそれはモテるだろうと思うが…

そんな、女同士の修羅場になり兼ねない場面で、果穂は平然と対応し、周りの空気をも穏やかにしたと言う。

普段は控えめで、自分の意見も余り言わず、
一歩後ろを歩く様な彼女から想像も出来ないが……。

冷淡で独裁者とまで影に言われている父親の息子である翔を持ってしてまで、絶対服従感が否めない嫁の果穂に興味を持つ。

そして出来るなら自分の事も変えて貰いたいと父は思っている。

歳を取れば取るほど、自分自身を変わる事に臆病になる。

周りも媚びへつらい従うだけで何の意見も述べてこない。
いささか、そんな日々がつまらないと思っていた。

そんな所で、反発して出て行った息子が刺激を与え凝り固まった頭に衝撃を与えていった。

その息子を変えた妻である果穂ともっと親しくなりたいと、父として深く思ったのだ。

その気持ちが衝動的に出て、
今回、平日にも関わらず2人を呼んでしまったのだった。