「本谷の所で揃えられるから。今日、この後行けるか?」

「はい。大丈夫です。」
果穂は笑顔でそう答える。

「後は?何か要望は無いか?
何でもいいから遠慮なく言って欲しい。」
義父が果穂に向かってそう言ってくる。

果穂はあまり主張するタイプでは無いから困ってしまう。

「特には…私、皆さんにご迷惑をおかけしないか心配なだけで気持ちがいっぱいいっぱいなので…全てお任せします。
逆に、私がするべき事が有れば教えて頂きたいくらいです。」
果穂の健気な申し出に、義父も納得し笑顔になる。

「果穂さんは、体調を崩さないように過ごしてくれれば良い。後は、たまにはうちにも夕飯を食べに顔を出して欲しい。」

「ありがとうございます。また、翔さんと伺わせて頂きます。」
嬉しそうに果穂が微笑むから、

「果穂に負担になると思って、何度か誘われてたんだけど断ってたんだ。」
と、翔が言う。

「えっ?そうだったんですか?」
と、果穂が驚く。

これからは、翔を通さない方が良さそうだな。と、義父はそう心で思い納得する。

「ところで、果穂さんの店は普段どこで出しているんだ?
健がやたらと恋しがっているから、一度行ってみたいと思っているんだ。」

「嬉しいです。是非ご来店下さい。
平日不定期で、週3日程しか出店して無いので、今月の出店日を渡しておきますね。」
果穂は丁度持っていた手作りのチラシを差し出し、場所を書き出して義父に手渡す。

「これは、果穂さんの手書きなのか?」

「はい…。お恥ずかしいんですが…。」
思わぬ所を見抜かれて果穂は恥ずかしくなる。

「なかなか上手じゃないか。
絵も可愛らしくて、フレンチトーストか美味しそうだ。」 
義父から高評価を貰い果穂は戸惑いを見せながらも嬉しそうだ。