凄い。と思う。
彼女は俺が守るべき大切な人で、か弱い存在のはずなのに、時折見せるこの凛とした姿は、まるで逆に守られているかの様な錯覚にとらわれる。
果穂は心配で駆けつけた雅也にも微笑みを返し安心させ、何事かと固唾を飲んで見守っていた周囲の人達にも、何事もなかったかの様に振る舞い、場の空気をも穏やかに変えにこやかにその場を後にする。
俺はただ彼女の為にエスコートしてその道を導くだけで、彼女を誇らしく思う。
「こちらです。」
と、待機していたスタッフの後に果穂に寄り添い付いて行く。
雅也が「大丈夫か?」
と言って、俺を呼び止めるので、
「あの目をした果穂は無敵だから大丈夫だ。」
と笑って伝える。
そのタイミングで、宮崎社長を監視している優斗に、この場に旦那を連れて来る様に連絡を入れる。
「果穂ちゃんカッコイイな。」
そう呟く雅也も俺と共に部屋に入り、
遠目で2人を見守事にする。