「どうした?」
翔はいつもと違う様子に心配して、果穂の顔を覗いてくる。

「えっと…凄く似合ってます。
カッコいいです。」

「ははっ、ありがとう。
果穂もいつ見ても可愛い。」
果穂の頬を優しく撫でるから、つい顔が火照ってしまう。

いやいや、夫婦でそんな事を言い合ってる場合じゃないよね……、

と、思いながら果穂はお弁当を取り出す。

「サンドイッチ作ってきたんたけど食べれる?」

翔は笑って嬉しそうな顔をする。

「ありがとう、わざわざ作ってくれたんだ。食べたい。」
そう言って、作ってきたサンドイッチを美味しそうに食べてくれる。

「翔さんは緊張しないの?」

果穂の方が初めて見る講演会に、緊張してるかもしれない。

「数え切れないほど講演はしてるから、
緊張は今更しないな。でも、今日は果穂が観てるから緊張するかもな。」

「私に緊張するの?」 
不思議そうに果穂が言う。

「果穂の前で、カッコ悪い失敗出来ないだろ?」
笑いながらそう言うから、冗談なのか本気なのか分からない。

「翔さんはどんな時でもカッコいいから大丈夫。」

「そう言って、ハードル上げるなよ。」