寝る支度を整えてベッドに入ると、 
案の定抱きすくめられて、見つめられる。
 
留金を外した翔さんは色気がダダ漏れで、
どうしていいか分からず、果穂は狼狽えるばかり。

「嫌な時は嫌だって言っていいんだ。
疲れてるなら疲れてるって、ちゃんと言って。そしたら俺だって止められるから……。」

「嫌では、無くて…ちょっと緊張するって言うだけ…。」
果穂だって翔の愛情を受け止めたいし、
翔だったらいつ触られたって怖くない。
ただ、体力的に…明日大丈夫かなって思う。

「お手柔らかに…お願いします…。」
ハハっと笑う翔が眩しくて、俯いてしまう。

「俺は、いつも怖かったんだ。
自分の気持ちを曝け出して、果穂に嫌われるんじゃないかって、それが1番怖い。

果穂の言葉を借りて言うならば、
俺はたまたまこっち側に選ばれただけで、
いつあっち側になってもおかしくないって思ってる。」

果穂はぶんぶんと首を横に振って、
「翔さんを嫌いになる事なんて在り得ない。だって翔さんは私の家族だから、旦那様なんだから。」
ふふふっと笑って翔を安心させる。

「まぁ、夫である前に男だから…不安になるんだ。
俺を見て果穂が怯えて離れていく夢を何度も見る。」

「ごめんね。さっき…私が変な事行ったから…余計な気にさせちゃったね…。」

「いや、いいんだ。あっち側に追い出されないように、努力するから。」

「努力?」

「そう。どれだけ俺が果穂を好きかって事を、これから一生かけて伝えていくから、
覚悟しろよ。」
そう言ってニヤッと笑ったかと思うと、
貪る様にキスされる。
 
それだけで果穂は翻弄され、なすがままに愛されて…翔しか見えなくなる。

幸せに酔いしれ、簡単に高みに連れていかれ、どうしようもなく溺れて、そんな翔も大好きだと思う。

2人、至福な時間を過ごし愛される幸福感に満たされて、いつの間にか寝てしまい、そしてまた朝が来る。