「ごめんね。変な事、心配しちゃって。」
「いや…俺もちゃんと話すべきだった。
実は先週のキッチンカーの事で、もしかしたらって言う人物がいる。
そいつが明日出席する予定なんだ。
果穂だったら顔を見れば直ぐに分かるだろ?
だから、明日来て確認してもらえたらと思っていた。
…本当はその事先に言わなくちゃいけなかった。ごめん…。
だけど、絶対にそいつを果穂に近付けさせないから安心して欲しい。」
そうなんだ…。
お互い大事な事を言えずにいたんだ。
夫婦なのに気を遣ってしまうのは駄目だよね…。
「これからは、ちゃんと1番に翔さんに相談するようにするね。」
「そうだな…。
俺も果穂に隠さないで話す。
俺の事…怖いと思ったら直ぐ言って改めるから。」
「全然、怖くないですってば。
私が変に気にしちゃっただけだから。
もう、気にしないで。」
翔さんの方がまさか引きずっちゃうとは思わなかった…。
「私、今まで妻として翔さんに相応しい人にならなくちゃって、迷惑かけちゃダメだって勝手に思って、1人で不安になって…もっとちゃんと相談するべきだったの。
夫婦なのに、迷惑かけちゃダメだって遠慮してた。それじゃ駄目なんだってお兄ちゃんが教えてくれたの。」
「そうだな。
俺も余計な心配させたく無くて変に気を遣ってたのかもしれない。
それに、果穂を大事に思うがゆえに、気付かないうちに自由を奪ってたんじゃないかって…。
もっと、やりたい事もあるはずなのに、
言えなくさせてたのかもしれないって気が付いたんだ。」
「そんな事ない。
翔さんはいつだって私を心配してくれてるだけで、自由が無いだなんて思った事なんて無いよ。」
お互い、相手の事を思うが故に、気付かないうちに遠慮してたのかもしれない。
これからはもっと、何でも言える仲になりたい。