「もしもし、お兄ちゃん、今、大丈夫?」

『おお、果穂どうした?久しぶりだな。』

変わらない元気なお兄ちゃんの声を聞いて安堵する。

「お兄ちゃんも元気そうで何より。」

『俺は元気だけが取り柄だからな。
今年のみかん採りも順調に終わったし、
こっちの事は心配しなくても大丈夫だから。
あっ⁉︎もしかして旦那と喧嘩でもしたのか⁉︎」

「違うよ…。
翔さんと喧嘩なんて有り得ないから…。
仲良くしてるよ。」

『じゃあ、何だよー。』

「…私、まだ…男性恐怖症治って無いみたい……。
この前、お客様に突然手を握られて……『愛人にならないか』って、言われて…ちょっと怖くなっちゃって…。」

『そりゃそうだろ。
知らない男からそんな事言われたら俺だって怖いし。
翔の事は大丈夫なんだろ?
それだったら問題ないんじゃ無いか?』

「翔さんには安心しか無いから大丈夫だよ…。 
ただ、明日パーティーがあって翔さんと一緒に参加する事になったんだけど…。」

今、心配に思ってる事を全部お兄ちゃんに話て聞かす。

『要は、旦那の事を怖いと思ってしまったらどうしようって、要らぬ心配をして怖くなったって事だな?
そんなありもしない事考えて悩んでるんじゃねーよ。』
お兄ちゃんのビシッと単刀直入な意見を聞いて、身が引き締まる。

「…うん…。
翔さんにはいつも守ってもらって安心しか無いけど、会社での顔は凄く厳しいって聞くから…。」

『果穂がそう思ってる事旦那には話したのか?』