店に着いて個室に通される。
掘りごたつ式のテーブルがホッとする。 

「一般人の私なんかが言って大丈夫でしょうか…?」
果穂は心配そうに聞いてくる。

「本当は1人で参加するつもりだったんだ。
果穂は苦手だろうし、負担になるといけないと思っていたから。

…だが、夫としてそれで良いんだろうかと、思った。

果穂は俺の妻だって、世間に知らしめておくべきだろ?
大切にし過ぎて、果穂がどうしたいのか聞いて無かった事に気付いたんだ。」

果穂の本心を聞きたい。

彼女が彼女らしく俺の隣にずっと居てくれるように、居場所を作っていくべきなんだと思う。

「私は…、翔さんとは対等で在りたいなと思います。まだまだ出来の悪い妻ですけど…。」

「果穂は良く出来た奥さんだよ。俺には勿体無いくらいだ。」

果穂がぶんぶんと顔を横に振るから、 
可愛くてつい微笑んでしまう。

「明日、一緒に行こうか。
対等である為に遠慮しないで何でも言って欲しい。」 

「出来るだけ側に居てくれますか?」

「もちろんだ。出来る限り側にいる。」
お互い笑い合い、確かめ合う。

お店の人が注文を取りに来てくれて、
昼をシェアしながら食べる。
この先も、果穂とはいろんな事を分け合っていきたい。そう、心から思った。