そして昼、

心配は尽きず、昼近くなるにしたがってソワソワと気になってくる。

10時から始まった社内会議が押しに押し、
現在11時45分……

果穂は既に本屋に着いたのだろうか…
スマホにメッセージが入って無いか気になり手に取る。

「社長、今回はこれでいきますか?」
副社長の雅也が何気に聞いてくる。

「…そうだな。いいと思う。
それぞれの店舗で違うイベントを考えて競い合うのも、相乗効果が出ると思う。
来月までにそれぞれ案を提出して欲しい。」
早々まとめに入る。

仕事の事でここまでお座なりなった事は、
今までなかっただろうと思うほど、
早く切り上げて果穂の元へ行きたい。

やっと会議が終わったのが12時、
とりあえず、果穂に連絡をとスマホをタップして鳴らすが出ない。

それだけで、ザワザワと心が騒つく。

「ちょっと昼飯に行ってくる。」
新田にそう声をかけ、足速にエレベーターに乗り込む。

エレベーター内で女子社員達に会う。

「社長、お疲れ様です。
来週はうちの部のランチミーティングですから、よろしくお願いします。」
ニコニコと話しかけられ、無下にも出来ずに曖昧に返事をする。

この、ランチミーティングを始めてからやたら社員に話しかけられる機会が増えた。

会社内の風通しが良くなったと、雅也は満足しているが、出来るだけ早く果穂の元に行きたい今は、早く一階に降りないかと気持ちだけが早る。

「社長は、和食と洋食だったらどちらが好きですか?」
俺の気持ちを知るはずも無い彼女達は、
ここぞとばかりに声をかけてくる。

「どちらかと言うと、和食かな…。」
心ここに在らずで答えて一階に到着する。

それでも彼女達を先に下ろし、
「一緒にランチでもどうですか?」
と、声をかけられたが先約があるからと丁重に断り、果穂の待つ本屋に急ぐ。