森元のボディーガードを付けて5日目

今のところあの男は現れない。
 
まぁ、あれほど分かりやすく見張ってれば来れるはずはないと思うが…。

果穂にはこれ以上怖い思いをさせたくない。

さて、そろそろこっちから動き出すか。

「明日のシンポジウムは、起業者限定で若手の会社がいくつか参加予定です。
宮崎社長も参加予定だと聞いていますので、くれぐれも手足を出さない様お願いします。」
新田から朝のスケジュール確認の際に釘を刺された。

「俺はそんなに喧嘩っ早く見えるか?」
呆れ顔で、翔は言う。

「…果穂さんの事になると見境無いので。
冷静な対応を…。」
今日も歯に絹着せぬ新田の物言いは健在だ。

シンポジウムでは、俺も講演を頼まれている。

心情的にはそれどころでは無いが、
前から主催側から頼まれていた案件で、
辞める訳にもいかず、

せめてものあがきで2時間の持ち時間を1時間でと短縮させた。

夜には親睦会がある為、宮崎社長は夫婦揃って参加する筈だ。

そこで2人とは決着を付けたい。