「…翔さん、あの……。
さっき…泣いてしまったのは……。」
隠さず、キッチンカーであった出来事を話す。

「多分、普通の人なら大した事ないって、
受け流せるような小さな事なんです…。
…ごめんなさい、泣いて心配させちゃって。」

「大した事無いなんて思わない。
誰だろうと俺は、果穂に指一本でも触れる奴は許さない。」
翔さんが真剣な顔でそう言うから、また泣きそうになってしまう。

「その男、2度と果穂に触れさせないから安心して。
俺の事を知ってる誰か…、絶対見つけ出してやる。」

「翔さん…、そんなに心配しないでね。」

「明日だけでもキッチンカー休んでくれないか?」
仕事の事で言ってくるのは初めてだった…。

強がってもきっとバレてしまうし、
言う事を聞こうと思う。

「はい、そうします…。」
私が弱いばっかりに翔さんに心配をかけてしまう。
なんだか情け無くて…申し訳なくて…
涙が溢れる…

翔さんが席を立って私の元に来て抱きしめてくれる。

「もう、泣かなくていい。
話してくれてありがとう。 
果穂の事は俺が守るから心配しなくて大丈夫だ。」